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相続・遺言の研修講座に参加しました

京都商工会議所で行われた、
相続・遺言の研修講座に参加しました。

この講座では、司法書士が知るべき最近の相続・遺言の判例について、
立命館大学 法学部教授 本山敦先生のお話を聴きました。
参加者は、300名ほどでした。

この研修講座は、以下のとおりでした。

① 「グローバル化の影響を受けて、日本の家族像が揺れていること」について、
  本山敦先生が執筆された法律雑誌の記事を読み、かつ、お話を聴きました。

  テーマは、
  ⅰ 同性婚、
  ⅱ 国際離婚のときのこどもの取り合い、
  ⅲ 国際相続の3つです。
  
  グローバル化により、
  婚姻、親子、相続といった身近な法律問題が、影響を受けているとのことです。

② 本山敦先生は、京都家庭裁判所で、調停委員をされており、
  実務にも関心をお持ちです。
  その経験を踏まえて、遺産分割調停について、お話されました。

  遺産分割調停は、
  ⅰ 遺言の有無の確認、
  ⅱ 相続人の範囲の画定、
  ⅲ 相続財産の範囲の確定、
  ⅳ 特別受益、寄与分、取得希望財産の聴取、調整の順序で進められています。

  相続人の範囲を画定する段階では、
  「相続事件では、今日なお、戦前の旧民法の規定がどのような内容であるか、
  それが適用されるかどうかが問題となることがある」とのことです。

  裁判事例を通じて、
  旧民法、応急措置法を理解しておくことの大切さを実感しました。

  相続財産の範囲を確定する段階では、
  「金融商品が遺産分割協議の対象となるかどうかについては、
   いろいろと不透明であること」について、お話しされました。

  裁判事例を通じて、
  遺産相続をめぐるトラブルは、今後、増加していくように感じました。

  取得希望財産の聴取、調整の段階で、
  「相続分について、遺産分割調停で話し合う場合、
   特別受益、寄与分については、対審構造的な運用がなされている」とのことです。

  地方裁判所は、当事者が、証拠を提出して、主張、立証を行う対審構造を持っていますが、
  家庭裁判所は、地方裁判所と異なり、後見的、福祉的、人間関係調整的な役割を担っている
  と言われてきました。

  家庭裁判所も、今後は、時代の変化に応じた、変革が迫られているように感じました。
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司法書士制度140周年記念 市民公開講座に参加しました

三田市立ウッディタウン市民センターで行われた、
司法書士制度140周年記念 市民公開講座に参加しました。

講師は、神戸公証センターの公証人で、
相続と遺言について講演をされました。
50名ほどの市民が参加しました。

以下の3つの説明が印象に残りました。

① 子供がいない方は、必ず遺言を作ること。

  遺産相続の話し合いの場では、
  被相続人とさほどの関係がなかった人が、
  遺産の分配に口を挟んできて、
  ややこしくなるケースがある。

  甥姪に遺産をあげるという場合に、
  甥姪の数が多いと、
  本当に遺産をあげたい甥姪に分配が少ない結果になる。
  
  そこで、本当に遺産をあげたい人を定めて、
  その人に残すための遺言を作成する必要がある。

② 非嫡出子(正式な妻以外の女性との間の子)の相続分は、
  嫡出子(正式な妻との間の子)の相続分の2分の1とされているが、
  憲法違反の疑いがある。
  すなわち、非摘出子の権利が認められる余地がある。

  しかし、現実には、母親は嫡出子の母である場合が圧倒的に多い。
  国会議員は、これまで選挙に不利な法改正に取り組まなかったために、
  何十年も民法が改正されないままになっている。

  そこで、法的に弱い立場にある非嫡出子を守るためには、
  父親は生前に資産を贈与する必要がある。
  生前贈与を受けた非嫡出子は、家庭裁判所で遺留分を放棄し、
  その後に、父親は、家族への遺言を作成する。
  このような手続きで遺産相続の紛争を未然に防止することができる。

③ 遺産には、資産以外に、借金などの負債も含まれる。
  相続放棄の手続きは、相続開始を知った後、3カ月内に開始されなければならないが、
  債権者からの請求が、3カ月経過後であれば、資産と負債いずれが多いのか、分からない。
  このような場合は相続放棄が無難である。

  遺産分割協議で、相続分を放棄した場合でも、負債を相続することになってしまう。
  負債を相続したくないときは、必ず、家庭裁判所で相続放棄の手続きをすること。

私も、市民の方から相談を受けたことがあり、本当にそうだなと実感しました。
プロフィール

青山昌仁

Author:青山昌仁
開業20年目
兵庫県司法書士会 所属
趣味:合気道、卓球、料理、読書、将棋

  ◆青山司法書士事務所の
    ホームページはこちら◆

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